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忘れることは大切なこと。心の健康を保つために

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私は不登校やいじめのことで長年悩んできましたが、いじめっ子たちの細かいプロフィールや、先生の顔はよく思いだせません。「どんなことを言われたか」も、印象深いところは残っているけれどそれ以外は記憶の彼方へ過ぎ去っていってしまいました。
元々忘れっぽい性格で、「怒られた」ということを覚えていても、「何を言われたのか」「どこで言われたのか」などは忘れてしまうんですね。
それがすごく嫌で、「この間のあれ」みたな表現についていけないのがコンプレックスでした。
しかし先日、大学の心理学の講義にて興味深い話をきいたので、今日はそれを紹介したいと思います。

「忘れる」ことは欠陥ではなく、生きる術。

記憶というのは、人間の脳の特定の場所をつかってしているわけですが、人間の脳の大きさも決まっていますから、記憶できる量にも限りがあります。
すれ違う人の顔つき、雲の数、風の強さ、におい、全てを記憶していては、あっというまに容量オーバーになってしまうわけです。
つまり「忘れる」のは人間にとって欠陥ではなく、むしろ生きる術のひとつでもあるんです。
本来忘れるのは「どうでもいいこと」などで、例えば毒を持つ食べ物などの命を揺るがすもの、泣くほど感動したものなど「重要」「大切」だと判断されるものは、長く記憶の中にとどまるんだそうです。
では、私の人生を変えたかもしれない「いじめに関する過去」をどうして詳細まで思いだすことが出来ないのでしょう?

忘れる理由は、自分の命を守るため。

自室にしばらく後客人が来ることになりました。しかし自室はものがざっくばらんに置かれていて、相手に見られたくないものも散らばっています。
その時普通なら、クローゼットの中など相手から見えないところに「見られたくないもの」をしまいますよね。
記憶も同じようなことが起こるようです。
相手に見られたくないもの、自分さえ見たくないもの・・・例えば恥ずかしい過去や悔しい思い出、トラウマ、コンプレックスなど・・・そういうものは、「無意識の世界」にしまいこんでしまうんだとか。
だって、それら全てを覚えていたら、とてもじゃないけど生きていけませんもの。
私たち一家は現在の愛犬・アップルと出会う前にハムスター2匹を飼っていました。
そのうちの1匹は、おもちゃで遊んでいるときに誤ってケガをしてしまって亡くなりました。朝起きていつものように挨拶に行ったらもう息をしていなくて、冷たくなっていました。その後家の庭に母親と一緒にハムスターのお墓をつくりました。
その事実を、私は以来7年以上の間忘れていたのです。
思いだしたとき、自分を強く責めました。何故忘れてしまったのかと。あそこまで愛した存在を何故忘れることができるのかと。自分はなにかが足りないのではないかと、ひどく不安になりました。
今にして思えば、あれは必要なことだったのかもしれません。
忘れるまではずっと泣いていました。幸いなことに、父母も祖父母も健在な私は、6歳ではじめて「命の終わり」を目の当たりにしたのです。トクトクとはやいリズムを刻んでいた心臓がもう動かないこと、かじかんだ手を癒してくれたあのあたたかみはもう戻ってこないこと、その事実を幼いながらに理解していたのだと思います。
思いだすころには、私は中学生になっていて、「天国で幸せになれたかな」と想いを馳せることはあるものの、悲しみを理由に涙することはなくなっていました。
きっと神様は、いつも乗り越えられるかどうかぎりぎりの試練を用意してくれていて、乗り越えられない試練は、乗り越えられるくらいまで成熟するのを待って、それから与えてくれるんだろうな。そんなことを考えました。

今、思うこと

実際に心理学の講義を受けて、「忘れることは人間の能力である」という教授の言葉をきいて、そのときのことを思い出しました。
「忘れる」というと、すっぽかしやド忘れなどの失敗だと思い立ちですが、忘れることは人間が生きるための必要なものだと教わりました。
もともと感覚的には理解していたけれど、知識として教授から教わって、実感することが出来ました。
おかげさまで、しっかりと事実を受け止め、成長の糧にすることが出来ています。
いじめのことは、今でもまだ受け止めきれないから思いだせない部分もあるのかな、なんて考えています。
トラウマやコンプレックス、いろいろなことがあるけれど、忘れているものもきっとあるんではないかな。思いだす頃には、受け止められるようになれているかな。
「忘れる」ということをあんまり悲観せずに、これからも頑張っていこうと思います。
最後までお読みいただき有難うございました!
鷹れん

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