小学6年生、中学3年生の方を始めとして、不登校の方の中には、「卒業式」をどうするか迷われている方も多いと思います。
公立の小中学校は出席日数が少なくとも(1日も学校に行っていなくても)卒業は可能です。
しかし、学校によっては出席を求められたり、本人も「卒業式は出ないといけないのかな……」と意識したりする場合もあるのではないでしょうか。
そこで今回は、卒業式の出席/欠席どちらも経験した元不登校生が、不登校生の卒業式について考えてみます。
- 目次
「卒業式に行かない」っていいの?
そもそも、「卒業式を欠席する」ということはいけないことなのでしょうか。
先述した通り、卒業できるか否かと、出席日数は、公立の小中学校の場合には関係ありません。
極端な話、入学してから1日も学校に行かずとも卒業自体は可能なのです。
私立の小中学校や高校の場合にも、卒業式を欠席したからといってすぐに卒業できなくなることはありません。
ですから、もし自分自身が「卒業式に行きたくない」と考えている場合には、卒業式には出なくていいのです。
また、卒業式に出なくても、卒業証書・卒業証明書や記念品は後日受け取れます。
卒業式を始めとして、学校行事を欠席するというのは特別なものに思えるかもしれません。
しかし、不登校でなくても、体調不良や、受験との重複などで、卒業式を欠席する人は多々います。
行かないなら行かなくていいし、行きたいなら行けばいい。
ただ、それだけのことなんですよ。
全国の不登校生たちは卒業式をどうしたのか
卒業式に出るか出まいか悩んだ時、「他の子たちはどうするのか」は気になりますよね。
不登校専門紙「不登校新聞」によれば、およそ6割の人は卒業式に出席したのだそう。
ただし、出席者の約半数は、「校長室で」「教室で」など、全体の卒業式には参加しないかたちをとっていました。
(引用元:【公開】不登校と卒業式 本人たちはどう思った? 80人の感想を抜粋|不登校新聞)
出席者のうち「出席してよかった」と答えたのは約32%。それに対し、欠席者のうち「欠席してよかった」と答えたのは8割を占めました。
卒業式に出ると、それまでの学校生活と区切りをつけ、心機一転新しい道に踏み出しやすくなります。
その一方で、やはり苦手なクラスメイトたちと顔を合わせなければならなかったり、嫌いな学校で長時間過ごさなければいけなかったりすることに対しての負担を感じている人は多いようです。
「卒業式に出なくても成績は下がらない」「卒業証書や必要な書類は後から受け取れる」ことを念頭に置いて、どうするか考えましょう。
卒業式が怖い場合の3つの対処法
「ずっと行っていなかったけど、卒業式くらいは出たい」
「親から出るように薦められているけど、どうしても怖く感じてしまう」
などなど、卒業式に出たい・卒業式を休めない方もいらっしゃると思います。
そこで次に、卒業式に出る時の緊張や不安・恐怖を緩和する方法をご紹介します。
1. 卒業式の一部にのみ出席する
ずっとその空間にいることが苦しい、クラスメイトと一緒の場所に座っていたくない、といった場合には、卒業式の一部にのみ出席する、という方法があります。
例えば、卒業証書を受け取ったら退席する、などといった具合ですね。
途中で席を立つのは少々目立ちますが、式の途中で体調不良などにより退席することは特別なことではありません。
途中入室する場合にも、生徒たちの席に着くのではなく、後ろの方に席を用意してもらうなどすれば、あまり目立たずに行動できるかと思います。
2. 校長室など別室で行う
卒業式の形式を取るだけでいい(同級生たちと同じ場所でなくてもいい)なら、校長室など、別室で行うこともできます。
校長先生の都合などにより、卒業式とは別の日にやる場合が多いようです。
卒業証書を受け取る、先生からの言葉をもらう、といったことは十分できるので、「卒業する」という1つの区切りをしっかり身体で感じられるでしょう。
また、時間も卒業式よりは短くなるため、心身の負担も軽減できるかと思います。
3. アルバムなどはすぐに処分する
卒業式の途中入退席や別室での実施が難しい場合にも、なるべく精神的な負担を軽減するようにしましょう。
アルバムや思い出の品は、特に思い入れがなければすぐに処分しても大丈夫。
「取っておいたほうがいいよ」と言われるかもしれませんが、社会人のほとんどが実家に送るなどして、卒業アルバムをほとんど見返しません。
当時の写真を見て思い出に浸ることはありますが、写真を取っておく方法は他にいくらでもあるので、特に気にしなくて大丈夫です。
ものを捨てることで、心からも切り離しやすくなり、「学校は終わった」「もう行かなくていい」ということを実感できるのではないでしょうか。
不登校生が卒業式に出る場合におこなうこと
実際に卒業式に出ることにした場合、不登校生はどのような準備をすれば良いのでしょうか。
服装は制服が一般的
まず服装は、ほかの生徒と同じように学校の制服を着るのが一般的です。
しかし、感覚過敏などで制服が着られない、あるいは制服そのものを着たくないと思う場合もあるかと思います。
そういった時には、事前に担任の先生などに相談し、別の服装で良いかを確認しておきましょう。
卒業式だけではダメ?練習への出席を求められる場合も
卒業式は、保護者の方などに子どもの成長を見てもらう場、という役割も持っています。
そのため、ほとんどの学校では入場や合唱、卒業証書の受け取り方など、事前練習をします。
不登校で卒業式への出席を希望すると、卒業式当日だけでなく、これらの練習やリハーサルへの参加も求められる場合もあります。
練習が必要な部分には参加せず、席に座って話だけ聞く、といったような参加方法もあると思いますので、事前練習への参加をするかどうかも含めて、事前に先生方とよく話し合ってみてくださいね。
合唱は歌詞カードをもらうなどして参加が可能
事前練習に参加せずとも卒業式に出られることになった場合、なんとなく手持無沙汰になってしまうかもしれません。
もし自分自身が参加を希望する場合には、合唱で歌う曲の歌詞カードを事前にもらったり、卒業式前に動き方の説明を受けたりして、参加することも可能です。
学校によって対応方法は異なるので、ぜひ確認してみてください。
高校の卒業式を欠席した時の話
わたしは高校生の時、卒業式を欠席しました。
当時は不登校だったわけではなく、毎日学校に通っていたのですが、卒業式に出る意味が見いだせなかったためです。
卒業式直後は、仲の良かった人や後輩から「なんで欠席したの?」「出ると思ってたのに」などと言われることもありましたが、一週間もすればみんな忘れていつも通りになります。(そもそも一週間後にはつながりのある人のほうが少なかったのですが……)
卒業証書や記念品は後日学校へ行き、受け取りました。
不登校だった中学生時代にも、終業式などはまったく出席せずにいたので、卒業式を休むことに対する特別感・罪悪感といったものはありませんでした。
周りからは「出たほうがいいよ」「参加したらよかったのに」と言われましたが、わたし自身は、微塵も後悔していません。
大切なのは、卒業式に出席するかどうかではなく、卒業という区切りをどう受け止めるか、そしてその後の人生をどう考えるか、ということ。
正解があるものでもないですから、ゆっくり考えてみてくださいね。
- 参考
- 【公開】不登校80人、卒業式に一番多い感想は?|不登校新聞
【公開】不登校と卒業式 本人たちはどう思った? 80人の感想を抜粋|不登校新聞
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