「ムカついたからいじわるしてやろうと思った」「遊びのつもりで」
そんなちょっとした感情からうまれることも多い「いじめ」ですが、被害を受けた方の中には、大人になってからも苦しんでいる方がたくさんいます。
夢に出てくる、フラッシュバック、自信が持てない、周りの視線が怖い、被害妄想、人と関わることへの恐怖……。
わたしもその経験者であり、実際にいじめを受けていた小中学生の時だけでなく、大学生になってからもたびたび夢に見るなどして苦しめられてきました。
今ではだいぶ楽になってきましたが、それでも言われた言葉は脳裏に焼き付いていますし、似ている人や似ている言葉を見かけるとドキッとします。
もう、あの頃とは住んでいる場所も関わっている人も違うのに。
これまで、大学の学生相談室で受けたアドバイスを実践したり、心療内科で薬を処方してもらったりしてきましたが、なかなか効果は実感できず……。
むしろ「せっかく頑張って行ったのにムダだった」「薬に頼るなんてわたしは弱いんだ」などと考えてしまい、余計落ち込むことも多かったように思います。
しかし、そんなわたしでも、長い時間をかけていじめによるトラウマを克服することができました。
今回は、3つのステップに分けて「いじめのトラウマを乗り越える方法」をご紹介します。
いじめのトラウマ克服3STEP
わたしがいじめのトラウマを克服した方法は、おおきくわけて
- 傷ついた自分を受け入れる
- 傷つく環境・人とは距離を置く
- 次への対策を考えてみる
の3ステップです。
では早速、ひとつひとつを詳しく見ていきましょう。
1. 傷ついた自分を受け入れる
いじめをずっと受けていると、だんだん「自分は虐げられるような人間なんだ」「これが当たり前なんだ」というように、自分の価値を下げてしまいます。
何故かといえば、いくら不当だと感じていてもその状況は変えられないから。
これは、いじめに限らず、例えばブラック企業やブラック部活、虐待のある家庭などにも当てはまります。
つらいと感じる場所にずっといるのはしんどいから、自分から「つらくない」「自然」な環境として受け入れてしまうのです。
また、いじめなどの相談をした際に「そんなの甘えだ」「もっとつらい人もいる」などと言われたことのある方は多いでしょう。
そういった経験が蓄積して、「いちいち傷ついている自分が悪いんだ」と考えてしまうのですね。
だからまずは、傷ついた自分を「受け入れる」ことが重要です。
「あなたは悪くない」「あなたはがんばって耐えてきたんだ」「あなたはもう泣いていいんだ」
最初は棒読みでもかまわないから、そう自分に対して言ってあげてください。
自分ではどうしても腑に落ちなかったら、周りの人に話してみるのも効果的です。
人は、誰かに「話す」ことで、自分の心から「離す」ことができます。
詳細を話すことは、「そういう事実があった」と認めることでもあります。
それでかえってつらくなってしまう場合もありますので、無理に思い出したり話そうとしたりする必要はありません。
進むはやさは、あなたの楽なペースでいいんですよ。
2. 傷つく環境・人とは距離を置く
学校でいじめを受けているのに、学校へ行く。
否定されてばかりの相手だけど、友達としてい続ける。
当時のことを思い出すけど、いい人だから付き合い続けている。
そんなことをしてはいませんか?
トラウマやフラッシュバックで苦しんでいる時には、傷つく・傷ついた環境や人とは距離を置くことが大切です。
たとえ直接関わったわけではなくても、例えば「過去にいじめてきた人と外見が似ている」とか、「今は何もないけどこの場所に居ると息苦しくなる」といったことがある時には、近づかないようにしましょう。
わたしはトラウマに苦しんでいる時、「教室の写真」「地名・学校名」といったものでさえも見るのがつらかったです。
どんなものでも、あなたにとっての「引き金」になり得るのです。
もしかすると、このブログを読むこと自体も、苦しくなるひとつのキッカケになってしまっているかもしれません。
そんな時は、無理に読もうとする必要はありません。
今すぐ向き合おうとしなくても、誰も何も逃げないから。
距離を置いて落ち着いたら、当時は苦しくてたまらなかったものが、どうってことないものになっているかもしれませんよ。
3. 次への対策を考えてみる
地震などの災害が怖いのは、もし起こった時自分や大切な人がどうなってしまうか分からないから。
お化けや怪奇現象が怖いのは、それがなぜ起こるのか、正体がなんなのか分からないから。
人が恐怖を感じるのは、「分からない」からなんだそうです。
では、わたしたちは「いじめ」に対し、何が恐怖なのでしょうか。
実際に今被害に遭っている方は、きっと「明日はどんな目に遭うのか分からない」「これからどうなってしまうのかが分からない」ことが恐れの要因なのでしょう。
そして今被害に遭っているわけではないがトラウマに苦しんでいるという方は、きっと「次またいつ同じ目に遭うか分からない」から恐怖を感じるのだと思います。
恐怖を取り除くには、この「分からない」を減らしていけばいいのです。
地震などの災害が起きた時のために、食糧や水分を用意する。どの場所を目指すのか決める。
そうすると、ゼロにはならなくとも、必要以上に怯えながら暮らす必要はなくなっていきます。
だから、「次またいつ同じ目に遭うか分からない」のが怖いなら、「次同じ目に遭った時にはどうするか」を考えてみればいいのです。
わたしは中学二年生の夏頃、いじめを受けた学校から転校し、市外の中学校に通い始めました。
しかし、その転校先でもわたしはいじめを受け。無視や暴言など、日々否定されてばかりの生活でした。
幼いながらに転校にかかる費用や家族への負担は感じていましたし、また転校するのはどうしても嫌で。
わたしは「対抗する」ことを決めました。
悪口を言ってくるグループの一人だった女の子を呼び出し、自分の主張を伝えたのです。
「今、あなたたち数名から誹謗中傷を受けたり無視をされているのは知っている。いい加減我慢の限界なので、辞めてほしい。辞めないならそれ相応の対応をします」
結果的には学年主任や担任の先生を巻き込むかたちとなりましたが、初めて「自分自身で立ち向かった」瞬間でした。
何年も経った今でも、この時の記憶から「不当な扱いを受けたら直接主張する力がある」と信じることができています。
直接対抗をしなくても、
- いじめを受けた時の相談先リストをつくる
- 言われたことやされたことを日付と共にメモする癖をつける
- 学校に行きたくないと思った時に行ける場所を探しておく
などすると、少しずつ「未来が繰り返されることの恐怖」を軽減できると思いますよ。
「時代は繰り返す」なんて言いますが、その時とる行動は変えることができるのです。
今いじめを受けているあなたへ
以上3つのステップを踏んで、わたしは少しずつ、いじめによるトラウマを克服してきました。
しかし、その時の環境やタイミングによって、うまくいかないこともあると思います。
無理に乗り越えようとする必要はないですし、乗り越えられない自分を責める必要もありません。
ふと何年後かに振り返ったらなんでもない思い出になっていた、なんてこともあり得るのです。
大切なのは、自分を「傷つけられてもいい人間」にしてしまわないことです。
この世に傷ついていい人間も、傷つけていい人間も一人だっていません。
あなたを傷つける権利は誰にもないし、あなたの「傷ついた」という声を抑え込む権利だって誰にもないのです。
あなたには「傷ついた」と言う権利があり、自分の身を守る権利があります。
ただ、「傷つけられた」ことは、「傷つけてもいい」免罪符にはなりません。
ひどい目に遭わされたら、ひどい目に遭わせたくなる。それは人の自然な感情です。
しかしその感情に身を任せてしまったら、その先には不幸しかありません。
心の中ではいくらでも相手への罵詈雑言をぶつけていいから、決して口にはしないで。
どうしても仕返しをしたいと思った時には、最高に幸せな自分を見せつけてやるのが一番です。
「見返してやりたい」「決別したい」
そんなネガティブな感情は、いい付き合い方をすればとても大きなエネルギーになってくれます。
そのエネルギーを仕返しに使ってしまうのは、いくらなんでももったいないというもの。
ぜひそのエネルギーを、自分の成長のために、幸せな未来のために使ってあげてください。
あなたは幸せになれるのだから。
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