突然ですがあなたは「学校の先生にとって一番大切な能力はなんだと思いますか」と問われたら、なんと答えますか?
学校の先生に限らず、仕事をする人や社会人にとって「一番大切な能力」はなんだと思いますか?
教える能力。知識。視野の広さ。適応力。コミュニケーションスキル。いろいろありますね。
今回は「教師」に限った話をしますが、今から書くことはきっとそれ以外の職種にも関係があることだと思います。
さて。先ほどの問いの中で「話術」とこたえた方はいるでしょうか。私は、そのこたえを持っていませんでした。
「話術」ときくと、アナウンサーや芸人、評論家などが思い浮かびます。テレビやラジオで自分の意見を話したりしている人たちですね。
もちろん教師も大勢の子どもの前で話して全員に伝えなくてはいけないのだから、「話術」がある程度必要だとは思うけれど、そこまで重要視はしていませんでした。
しかし、先日『教師のための[話術]入門』という本を読んだときのこと。
(前略)話しかたについて自覚的に学習しようとはしなかった。
教師は、「知識」と「口」と若干の「愛と熱と誠意」さえあればやっていけると考えていたからである。それに、子どもとは、教師の話を黙って聞くものと思っていたからでもある。もしも、それで不足なら「奥の手」の「手」があればやっていけるとも思っていたからだ。「知識」と「口」があれば話ができる。話したことが通らなければ「手」をつかってなぐればいい。ばくぜんとではあるが、そう考え、実行していたからである。
こうした風潮は、今なお強い。いぜんとして話すことへの軽視がある。「手」が出るのは、教師の「口」の力が弱く、子どもを「なるほど」と納得に導く言葉の力をもたないからである。
この本はタイトルの通り、教師を志している人、教師になる人、教師として働いて初心にかえりたい人などを対象として、「話術」をひとつの軸として語っている本です。
上の文章を読んだとき、私はびっくりしてしまいました。
ここで言う「手」とは、要するに体罰のことです。子どもが納得しなくても、たたけば言うことをきく。だから、困ったら「奥の手」を使えばいい……。なんとも理不尽な考え方ですが、「話すことを軽視する」ということは「話すこと以外の手段を用意する」ということではないでしょうか。
この本を読むまで私は、「演劇部の一員として舞台に立ったこともあるのだから、教師になっても話す場面で困ることはないだろう」と考えていました。なんと生意気! 若気の至りですな……。笑
ちなみに、この場合の「話すこと」とは、発声のしかたから子どもに伝えるための表現方法まで様々です。
演劇に来る人というのは、そのほとんどが「演劇を観たくて来ている人」です。私はフリーでやったわけでもないから、常にホーム・グラウンドでたたかっているようなものでした。
お客さんの半分は家族や顧問、クラスメイト、残りの半分は他の出場校の生徒さんやその先生たちでした。
大勢に一斉に注目されるという点では教師などと通じるところがあるかもしれませんが、学校では、常にみんなが協力してくれるとは限りません。
みんなが前を向いて座る。ノートと教科書と筆記用具をだす。授業中は立たずに教室の中ににいる。
私が当たり前だと捉えているこれ等を当たり前だと捉えていなくたって、なんら不自然ではないのです。
30人いたら30通りの考え方・価値観があります。「学校に行きたくないのに来ている子」だっているし「勉強大好きな子」だっています。
そんな中で、50分授業をしなくてはなりません。
これからの大学生活や教育実習でたくさんのことを学ぶとは思うけれど、どこかで「自分は大丈夫」なんて思っていたらいつか絶対どこかで壁にぶち当たる。どうしようもないくらい高~い壁に。
本書を読んで、そんな風に考えました。
教師だからって、数学に詳しければいいわけでも、子どもが好きであればいいわけでもなくて、話術は勿論、それ以外にも、数えきれないほどの術を身に着け、価値観を蓄え、想像力を養わなくてはいけない……と思うんです。
これって、教師だけではないんじゃないでしょうか。
なにか職業に就きたいとか、なにか新しいことを始めたいとか思ったときに、「ひとつ、これが出来れば!」なんてことはないと思うんです。
きっとどんなもの・ことでも、たくさんの能力が必要で、その中には知らず知らずのうちに自然と身につくものもあるけれど、やっぱりどこかで意識しないといけないものもあって……だから、ひとつのこと(教師の場合は「知識」とか)に固執せずに、いろいろなことに挑戦して、いろいろなものを見て、自分の世界をどんどん広げていくことが、重要なんだと思います。
鷹れん
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