不登校の現状とは?文部科学省による不登校の定義と人数・7つのタイプについて

目次

不登校の定義とは?

一般的に「不登校」は、単に学校に行っていない児童生徒のことを指しますが、文部科学省では以下のように定義されています。

「不登校児童生徒」とは「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を 除いたもの」と定義しています。

(引用元:不登校の現状に対する認識|文部科学省)

つまり、行ったり行かなかったりする状況であっても、年間の欠席が30日未満であったり、遅刻・早退である場合は、不登校とは定義されないのです。

不登校の7つのタイプとその対応方法

文部科学省は不登校を以下の7つのタイプに分類しています。

1. 学校生活上の影響

いやがらせをする子どもの存在や,教職員との人間関係等,明らかにそれと理解できる学校生活上の影響から投稿しない(できない)型。

(引用元:1 不登校とは(不登校の定義とタイプわけ)|文部科学省)

勉強に遅れがあったり、いじめ被害を受けていたり、学校の中に不登校の要因がある場合はこのタイプ。

勉強面で遅れ・不安がある場合は、学力向上を図ることで、学校に楽しく通えるようになることがあります。
学校・家族が協力しあいながら、その子に合った教育方法を見つけることが大切です。

LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、アスペルガー障害など、なんらかの障害・特性を持っている場合もあるため、教員だけでなく、カウンセラーなどの専門家・相談機関を利用するのも良いでしょう。
すぐには受け入れられない家族に対してのフォローも必要です。

また、いじめや嫌がらせによって不登校になった場合には、教員や家族が問題を軽視してしまうと、不登校が長引きやすくなります。
「いじめ被害者は絶対に守られるべき」「いじめられた側が学校に行けなくなるのは不当である」といった考えのもと、原因をしっかり分析して対応しなければなりません。

2. あそび・非行

遊ぶためや非行グループに入ったりして登校しない型。

(引用元:同上)

中学校・高校と年齢が上がっていくに連れて増えていくタイプです。
虐待など、家庭環境に問題があるケースも多く、子ども自身だけでなく、その家族や周りの人々へのサポートもしていく必要があります。

このタイプの場合は、仮に不登校になっても引きこもることはなく、非行グループに所属したり、深夜に出歩いたりする人も多いようです。
犯罪などに巻き込まれる可能性もあるため、遅刻や早退の増加、無断欠席、校則違反など、細かなサインを見逃さずに、早い段階から適切な対応をすることが大切です。

尚、叱責や指導をすると、反発して余計に非行に走る可能性もあるため、まずは子どもの居場所を保障したうえで、少しずつ話し合っていく必要があります。

3. 無気力

無気力でなんとなく登校しない。登校しないことへの罪悪感が少なく,迎えにいったり強く催促したりすると登校するが,長続きしない型。

(引用元:同上)

「なんとなく行きたくない」「理由は分からないけど行きたくない」といったよに、いじめや学業不振など、明確な理由があるわけではないのが特徴的です。

家族としても原因が分からないために対応方法が分からず、また、「怠けているだけだ」と問題を軽視して無理に連れて行こうとする人も多くいます。

しかし、実際には、幼少期の経験が深く関係していたり、子ども自身の自尊心や自己肯定感が著しく低いゆえに意欲が湧かなかったりすることもあるようです。
無理に学校へ行かせようとするのではなく、まずは子どもの興味や意思を尊重し、少しずつ自発性や自主性を育んでいきましょう。

4. 不安など情緒的混乱

登校の意思はあるが身体の不調を訴え登校できない,漠然とした不安を訴え登校しない等,不安を中心とした情緒的な混乱によって登校しない(できない)型。

(引用元:同上)

「不安など情緒的混乱」は、「無気力」と似ている場合が多いのですが、対応方法はまったく異なります。
そのため、よく子どもを見て、話を聴いて、情報を整理して、適切な判断をすることが重要です。

「学校、明日は行く」と言い、準備もするのに行けない。
朝になっていきなり頭痛や体調不良を訴えてくる。
午後になったら普通に元気。
学校のことを話そうとすると急に不機嫌になる。

などなど、気持ちが安定しないので、家族は「一体何が望みなの?」「本当は行けるのにサボってるんじゃないの?」といったことを考えがち。
しかし友達と会えなくなったり、休むことに罪悪感を抱えていたりして、本人には大きな負担がかかっています。
正しい対処法を知り、教員や周りの人と連携しながら対応することが大切です。

尚、文部科学省によれば、このタイプはさらに4つに分類できるのだそうです。

(1)分離不安によるもの

分離不安とは、子どもが親や保護者、特にお母さんと離れることに対して強い不安を感じることを言います。

それゆえにクラスに馴染めず、学校へ行けなくなるのです。

この場合は、無理にお母さんと離そうとするのではなく、お母さんが送り迎えをしたり、クラスまで同行する「母子登校」を認めたりしながら、少しずつ他のものへの興味を持つよう働きかけるようにします。

また、子どもではなく母親自身が子どもと離れることに対して不安・ストレスを感じ、それによって子どもを不安定にさせている場合もあります。
その際にも、同様にいきなり親子を引き離すのではなく、安心感を与えながら少しずつ働きかけていくようにしましょう。

(2)息切れによるもの

「親の仕事を継ぐ」「優秀な成績をキープする」「難関大学に合格する」など、家族や教員、周りからの期待を受けすぎると、やがて子どもはそのプレッシャーに耐えられなくなります。
「息切れ」の状態になり、学校へ行けなくなるのです。

ここで重要なのは、いかに子ども自信に任せるか。
これまでずっと「親の期待に応えないと」「周りに認められないと」と他者を基準にして生きてきたわけですから、少しずつ自分を基準に、自分の意思で動けるようになる必要があります。
長い目での支援が必要となるでしょう。

(3)甘やかされによるもの

家族・周りの人から甘やかされすぎると、一般的なマナーが身に着かなかったり、我慢できなかったり、コミュニケーションがうまくとれなかったりすることがあります。

これに関しては、子ども自身へのアプローチよりも、保護者・親への対応のほうが大切。
子どもを甘やかしすぎていなかったか、子どもがやるべきことを代わりにやっていないか、過干渉になっていないか、1つずつ振り返っていきましょう。

子どもに対しては、自立心を育むために、少しずつ子ども自身ができることを増やしていくのが大切です。
家事を手伝う、朝1人で起きる、10分勉強するなど、小さな目標を用意して、クリアしながら自信をつけていきましょう。

(4)生活基盤の不安定によるもの

離婚や再婚、家庭内不和など、家庭・生活に大きな変化があると、その不安から不登校になることがあります。

子どもに対するサポートも大切ですが、家族も含めて、時には専門機関の力も借りながら解決していくことが重要です。

5. 意図的な拒否

学校に行く意義を認めず,自分の好きな方向を選んで登校しない型。

(引用元:同上)

「学校よりも自宅学習のほうが効率よく学べる」
「将来やりたいことがあるので学校へは行かずにその準備がしたい」
「集団行動は嫌いなので家で1人で過ごしたい」
などなど、自ら考えて学校に通うことを辞める人もいます。

また、親が学校に価値を見出しておらず、その考えに影響されて行かなくなる子どももいるようです。

家にいることをストレスに感じず、むしろ積極的に学び、人と接する子も少なくないので、そのまま意思を尊重するのも良いでしょう。
もし周りが学校へ行くことを望む場合も、無理に説得するのではなく、あくまで本人の意思を最大限尊重した上で、話し合うことが大切です。

6. 複合

不登校状態が継続している理由が複合していて、いずれが主であるかを決めがたい型。

(引用元:同上)

最近では、このタイプが最も多いようです。

いじめと家庭環境など、いくつかの要因が重なって学校に行けなくなった場合がこのタイプ。
「このタイプだ」と思いこんだり、対応を急いだりせず、子どもの話をよく聴いて、多くの情報を整理して対応方針を決めることが重要です。

相談機関や専門家のサポートも受けながら、どうすればいいのか、少しずつ考えていきましょう。

7. その他

すべての不登校生が、上記6つのタイプに分類できるわけではありません。

不登校の要因は重要な情報ではありますが、何よりも重要なのは、子どもが不登校によって何を訴えようとしているのか。

また学校に行きたいのか、それとも違う場所を探したいのか。
家族や教員にどうしてほしいと思っているのか。
どの道が、その子どもにとって幸せなのか。

「不登校生」という1つの括りで見るのではなく、1人ひとりとじっくり接しながら、その子の価値観や気持ちを見ていくようにしましょう。

不登校生の人数

平成28年度の文部科学省の調査によると、小中高を合わせた不登校児童生徒数は、182,977人。
中学生の不登校が比率的にはもっとも多く、だいたい1クラスに1人いる割合です。

出席日数が0日なのは全体の3%ほどで、多くの児童生徒がだいたい年間10日以上は出席しています。
そのまま学校に通うよう働きかけていくのか、それとも他の安心できる場所を提供して子ども自身に任せるのか。
子どもの状況を見ながら、冷静に判断してくださいね。

参考:平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について|文部科学省初等中等教育局児童生徒課

まとめ

今回は、不登校の定義とタイプについてご紹介しました。

不登校の人数は年々増加傾向にありますが、それは「子どもが弱くなった」「学校がダメになっている」というわけではありません。

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