不登校になると、学校に行っていた時からさまざまな変化が起こります。
学校に行かない分、「好きな事ができる」「ストレスがたまらない」「勉強しなくてもいいから楽」などといった印象を持たれることも多い不登校。
しかし実際には、自己否定や無力感など、多くのネガティブな感情を抱え込んでしまうことも少なくありません。
そこで今回は、自身の不登校経験も活かしながら、不登校が辛い時の対処法についてご紹介します。
不登校が辛くなる原因
人によって、学校に行かなくなる理由はさまざま。
しかし多くの人は、学校に行かなくなってから、不登校であることを辛く感じるようになります。
不登校で感じる辛さは、大きく分けて以下の3つです。
- 成績や勉強、将来・未来への不安
- 家族や周りの人との人間関係
- ずっと家にいることによる孤独感、無力感
1つずつ、詳細を見ていきましょう。
1. 成績や勉強、将来・未来への不安
不登校の子の多くが不安に思うのが、「勉強面」。
学校に行かなくとも、家庭教師や学習塾を用いたり、インターネット上にある学習サービスを使ったりすれば勉強をすることは十分可能です。
しかし、どうしても出席日数や学校の成績といった部分では、学校に行っている子よりも不利になります。
「このままでは高校も進学できないのではないか……」
「早く学校に行けるようにならないと置いてけぼりにされる……」
「もう人生おしまいだ……」
そうやってどんどんネガティブ思考になってしまいかねます。
また、学校に行けなくなる時はその子にとってはもう限界を迎えている状態であるため、回復には長い時間を必要とします。
焦って勉強に取り組もうとしても、精神的なダメージが大きく続かなかったり、周りとの遅れを実感して絶望してしまったり。
そうした経験を通して、将来・未来に対して、希望を持てなくなってしまうのです。
2. 家族や周りの人との人間関係
不登校になると、ほとんどの人は家にいる時間が長くなります。
すると、必然的に親や兄弟、家族と接する時間も増えますよね。
親子のコミュニケーションをとる機会ができていいじゃないか、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、不登校の子どもにとっては、「親に、今の自分の姿を見られる」というだけでも、大きなストレスに感じる可能性があるのです。
学校に行けない。
当たり前のことができていない。
家族との信頼関係が築けていればいるほど、そんな弱い自分を見せることに耐えられなくなるのです。
また、家族に対して不信感を抱いていたり、思春期などで家族との距離感が分からなかったりする人にとっても、「家にずっといる」「家族と常に顔を合わせる」環境は、苦痛を伴うものになります。
3. ずっと家にいることによる孤独感、無力感
不登校になると同時に、引きこもりになる方も一定数います。
家族とコミュニケーションがとれていればまだ良いのですが、家族ともうまくいかなかった場合、一気に社会から孤立することになります。
誰とも話さない。
誰とも顔を合わせない。
一日中、独りきりで部屋に閉じこもる。
心の中は、「どうしてできないんだよ」「自分は生きてて意味があるのか?」と自分を責める言葉ばかり……。
そんな日々を繰り返すうちに、どんどん心の中の孤独感・無力感が大きくなってしまうのです。
それゆえに、自ら命を絶ってしまう方も少なくありません。
学校復帰を目指す人に試してほしいこと
学校に行っていないことがどうしても苦しいという場合は、学校に復帰することを検討しても良いでしょう。
しかし、いきなり学校復帰をすると、心のバランスが崩れたり、大きなストレスを抱えたりする可能性もあります。
学校への復帰を考えている場合は、以下3つのことを試してみてください。
1. 勉強する習慣をつけておく
不登校になると、メンタルバランスが不安定になる影響もあって、勉強が手につかなくなる人がたくさんいます。
わたしが学校に戻った時、およそ半年間何も勉強していなかったおかげで、見事に置いていかれました。
分からない単語や習っていないことが並ぶ教科書。
問われていることすら分からない、バツだらけのテスト。
先生に指されて間違える度に笑いが起こるクラスでの授業。
それらは少しずつ、しかし着実に、わたしの心を蝕んでいきました。
せっかく学校へ戻ろうとしたのに、人間関係などではなく「勉強」によって行けなくなるのは、とても悲しい。
だからこそ、学校に戻ろうかと思い始めたら、ぜひ勉強する習慣を身に付けてください。
自分の学年が今習っているところまでを一人でやろうとする必要はありません。
50分、授業中に椅子に座って教科書を見続けられる。
毎日、10分でも30分でも自分から進んで勉強できるようにする。
そういったことが、学校復帰するかどうかにかかわらず、必ずあなたの役に立つはずです。
2. もしもの時に助けを求められる人や場所を作る
学校に復帰するということは、生活をガラリと変えるということ。
昼夜逆転している人や、家にいる時間が長い人にとっては、学校に通うだけでもすごく大変だと思います。
そのため、最初は学校の始まる時間に合わせて起きられなかったり、学校に行っても身体の調子が悪くなってしまったりすることも十分あり得るのです。
特に、クラスメイトや担任の先生とのトラブルなど、人間関係に関するものが原因で学校に行けなくなってしまった方は、「もしもの時に頼れる相手」を見つけておいてください。
教室にいる時に涙が出てきそうになった時、行ける場所。
学校に行くのがしんどいと思った時、素直に話せる相手。
そういったものを、できれば学校の中に、無理なら外でもいいので、必ず1つ以上見つけておいてください。
たくさんあればあるほどいいです。
学校復帰して何もなかったならそれはそれでよし。
喜ばしいことです。
「もしも」の時を想定して、なるべく自分が傷つかないように準備したいですね。
当サイトでは、不登校の小中高生を対象にいつでも無料で相談を受け付けています。
「学校に戻りたいけど辛い」「復帰してみたけどやっぱりしんどい」という時には、ぜひ私たちのことも思いだしてください。
3. しんどいと感じたら早めに休む
学校に復帰しようとすると、多くの保護者の方、先生は喜ぶと思います。
「頑張って!」「できるよ!」
そんな言葉は、励みにもなるけれど、時には負担となってしまう場合も。
学校に復帰すると、今まで接してこなかった人たちと接するようになり、勉強などやることも増え、進路のことなど、情報がたくさん入ってくるようになります。
それらを受け入れるキャパシティがあれば良いのですが、本人も気が付かないうちに心や身体が負担を抱え込んでしまうことは十分に考えられます。
ちょっとしんどい、ちょっと疲れた、ちょっと気分が落ち込む。
そんな「ちょっと」を見逃さずに、早めに休息を取るようにしてください。
たくさん疲れると、その分多くの休憩が必要になります。
でも、ちょっと疲れただけだったら、少し休めばすぐに元気になれます。
元気になったら、また前に進んでみれば良いのです。
不登校の辛い気持ちを和らげる方法
繰り返しになりますが、わたしは「学校は行っても行かなくてもいい」と考えています。
しかし、学校に行っていないことが原因で、辛さや悩みを抱える方が多いのも事実。
その辛い気持ちを少しでも和らげるために、不登校の人に試してほしいことを、5つご紹介します。
1. 学校以外の友達や繋がりをつくる
まず試してほしいのが「繋がりを増やす」ということ。
学校に行っている人の多く、特に小中学生のうちは、家族以外ではほとんどの繋がりが学校で生まれると思います。
だから、学校に行かなくなると、交友関係がものすごく小さくなるのです。
習い事やスクールに通えばまだ人と接する機会は残りますが、それも週に1度か2度という人がほとんどですし、そもそも外出する気力がなくなってしまう人もいます。
しかし今の時代、インターネットやSNSなどを使えば、自宅にいながらさまざまな人と繋がることができます。
学校以外の繋がりを持つことは、不登校やそれに関する悩みを考えない時間を作ることにもなりますし、「世の中にはさまざまな人がいる」「自分だけが弱いのではない」といったことを知るきっかけにもなります。
もちろん、さまざまな人がいる分、ルールを決めるなど、使い方は気を付けなくてはいけませんが、人と話す余裕が出てきたら、ぜひ少しずつでも、人と接する時間を作ってみてくださいね。
2. 没頭できるものを見つける
不登校になると、自由な時間がとてつもなく増えます。
最初はゲームや漫画、テレビで気を紛らわせていても、時が経つに連れ、虚しい気持ちが募っていくのではないでしょうか。
「自由」というのは、幸せであると同時に、心細いものでもあるのです。
その時に心の支えになってくれるのが、「没頭できるもの」。
物事に没頭すると、その分考える時間が減るので、落ち込みにくくなります。
好きなもの、集中できるものならなんでもかまいません。
「何をすればいいか分からない……」という方は、読書や映画がおすすめです。
読書や映画は、その世界に潜り込んでいるような状態になるので、その間は進路や現実の悩みを少し頭から離すことができるのです。
精神的に余裕がもしあれば、勉強をするのも良いですね(*´`)
疲れないのが一番大切なので、1日10分でも大丈夫です。
無理のない範囲で、少しずつ取り組んでいってください^^
3. 辛い気持ちは素直に吐き出す
人は、誰かに「話す」ことで、心から「離す」ことができるのだそうです。
辛い気持ちを溜め込んだままにすると、精神的にも身体的にも負担がかかってしまいます。
そういった気持ちは、できるだけシェアして、他の人に委ねて、自分の中から減らしていくことが大切です。
辛い気持ちを吐き出して、初めて人の意見を受け入れたり、新しい行動を試みたりする余裕がうまれますからね。
すべてを話す必要はありませんが、誰かを頼りたい、誰かに話を聴いてもらいたいと思った時は、素直に吐き出してしまいましょう。
「誰に相談したらいいか分からない……」という方は、ぜひ以下の相談先まとめを見てみてください。
きっと、頼れる相手が見つかるはずです。
4. 不登校の経験を持つ人たちの話を聴いてみる
周りの「普通に学校に通っているクラスメイト」や「働いて社会の役に立っている人」と比べて、今の自分を卑下してしまう場合は、同じ経験を持つ人の話を聴いてみましょう。
世の中には、たくさんの不登校経験者・いじめ経験者がいます。
学校を辞めたことがある人、高校進学せずに働き始めた人、仕事をして社会人経験を積んでから学校に行きなおした人。
本当に、いろいろな人がいます。
そんな人たちと自分を比べて、「今の私には何もできない……」「こんなふうにはなれない……」と感じる方もいるかもしれません。
でも、その人のようになろうとする必要はないのです。
あなたにとっての幸せと、その人にとっての幸せは違います。
だから、比べなくていいんです。
そもそも、比べられるものではないのです。
ただ、
「あぁ、私だけじゃないんだ」
「自分、まだ人生終わってないかも」
って受け取るだけで、いいんですよ。
当サイトでも元不登校生へのインタビュー記事を公開しているので、ぜひご覧ください。
みんな素朴で、悩みながら生きてきました。
その人生を知るだけでも、少し、励みになる部分はあるのではないでしょうか。
- ◆参考LINK
- ▽元不登校生へのインタビュー記事はこちら
https://candle.jp.net/category/interview
5. 「できたこと」や「やったこと」を記録する
不登校というのは、「できないこと」を見せつけられます。
学校に行けない。
クラスメイトたちと同じように行動できない。
勉強ができない。
発言ができない。
コミュニケーションがとれない。
友だちとうまく付き合えない……。
だからこそ、「できたこと」や「やったこと」を記録するクセをつけましょう。
記録するのは、小さなことでかまいません。
- 散歩に出かけた
- ご飯の準備を手伝った
- 数学のテキストを開いた
- 高校の資料請求をした
- 洗濯をした
- 午前中までに起きた
- 小説を読んだ などなど、小さなことからでOK!
1日の記録をつけるだけでも、「私は何もできない」「今日も1日ムダに過ごしてしまった」といった無力感は、軽減できるはず。
日記を書くのは大変そうだけれど、やったことを記録するだけならできそうですよね。
不登校中の親子の向き合い方
不登校になって多くの方が悩むのが、「親・家族との接し方」。
学校に行っていた時よりも遥かに長い時間を家族と過ごすようになりますから、それまでは気にならなかったことが気になってしまう方も多いようです。
不登校になった時、親子でどうやって向き合えば良いのでしょうか。
1. お互いに一人になる時間を作る
先ほども述べた通り、学校に行かない分、家で過ごす時間が長くなり、家族と接する時間は格段に増えます。
だからこそ意識して取る必要があるのが、「一人になる時間」です。
どんな相手とも、四六時中一緒にいたらストレスがたまるし、喧嘩も起こりやすくなります。
お互いの苛立ちや不安が限界を迎える前に、一人になる時間を取るようにしましょう。
家の間取りなどの関係で物理的に別の場所に行くことが難しい場合は、イヤホンで音楽を聞くだけでもOKです。
「会話をしない時間」「お互い干渉しない時間」を作るだけでも、ぐっと心は楽になると思いますよ。
2. 家にこもらずに外出してみる
「クラスメイトと顔を合わせないか」
「周りの人が自分を責めているように感じる」
などといった不安から、外出できなくなってしまう子も少なくありません。
しかし、家にこもりきりでいると、精神的にも不安定になりやすく、身体もエネルギーの消化不足により、寝付けない・食欲がわかないなどの悩みが生まれてしまいます。
深夜帯や早朝など、人の少ない時間を選んで、近場でもいいので、できるだけ外出するようにしてみてください。
どうしても難しいという場合は、カーテンを開けたり、ベランダに出たりするだけでも大丈夫です。
日光を浴びると、セロトニンという幸せホルモンが分泌されるので、気持ちも上向きになると思いますよ(*´`)
3. すべてを話さなくてもいいことを知る
親子だからといって、すべてを話す必要はありません。
話したくないこと、秘密にしておきたいことは、誰にとっても、誰に対してもあるものです。
相手へ話せない想いや考えを、無理にシェアする必要はないし、一度言わなかったからといってもう二度と言えないわけではありません。
話したいタイミングで、話したいことを。
相手が言ってくれないのも、ただ「タイミングが合わないだけ」と考えて、必要以上に考え込まないようにしましょう。
親子でも、家族でも、根本を突き詰めれば別の人間です。
ちょうどいい距離感で、付き合っていきたいですね。
中学生の時、不登校が辛かった。だからこそあなたに伝えたいこと
最後に少しだけ、わたし自身の話をさせてください。
わたしは中学生の時、いじめをきっかけとして不登校になりました。
まだ一年生の春でした。
少し大きめの制服に、きれいなスクールバック、しゃんと背筋を伸ばして、ドキドキ、胸を高鳴らせた入学式。
それから3ヶ月も経たないうちに、わたしは不登校になったのです。
絶望しました。
将来が終わったと思いました。
最初は受け入れてくれた両親も、だんだんと学校に行くことを薦めてくるようになり、わたしの心は追いつめられるばかり。
結果、自傷行為や自殺未遂に手を出してしまうこともありました。
そんなわたしだからこそ、今苦しんでいるあなたに伝えたいことがあります。
学校に行くかどうかは、自由です。
学校に行ってもいいし、行かなくてもいいのです。
不安ですよね。
学校に行っていないという引け目。
世間では「当たり前」のことなのに、それができていない無力感。
親や家族に迷惑をかけているのではないかという不安。
将来に望みを見いだせない、お先真っ暗な絶望感。
いろいろな感情が渦巻いて、自己否定して、周りを責めて、周りを責める自分のことも嫌いになって。
クラスメイトたちから届く手紙。
訪問してくる先生の声。
家族からの言葉。
そのどれもが、あなたを追い詰めようとしているように感じられるかもしれません。
それでも、学校は行かなくていいのです。
学校に行かなくても幸せな人生を歩んでいる人はたくさんいるのです。
誰かが「学校に行ったほうがいい」と言ったとしても、それはあなたの言葉ではありません。
あなたの考えではありません。
あなたの幸せが分かるのは、他でもない、あなた自身なのです。
どうか、自分の幸せのために生きてください。
そのために学校に戻りたいのなら、全力で応援します。
ほかの場所を見つけたいのなら、一緒に探します。
家にいることで安心できるのなら、それでいいのです。
もう何もしたくない、できないほど疲れたのなら、そっと傍にいます。
だからどうか、あなたの幸せを第一に考えて、生きてください。
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