久々の読書感想文です。
今回の課題図書は、私の大好きな作家「有川浩さん」の作品『レインツリーの国』です。
私が読んできた本の中で、一番のお気に入りです。何度も読み返しました。響く言葉だらけで、読むと毎回付箋がいたるところについてしまいます。しょうがないよね、好きなんだもの。
『レインツリーの国』概要
著者:有川浩
ジャンル:恋愛
平成18年9月に刊行されたそうなので、この本が世に出てから今年で10年目ですね。
ざっくりまとめると(あらすじ的なもの)
とある事情を抱えた女の人「ひとみ」と、とある過去を抱えた男の人「伸」が、一冊の本を通してネット上で知り合うところから、この物語は始まります。お互い相手に惹かれながら続いてゆくメールのラリー。
やがて「伸」は、彼女に会いたいと思い始めます。しかし彼女は「伸さんに会いたくないわけではない」と繰り返しながらも拒否をし続けます。
実は彼女には「どうしても会えない理由」があったのです。
不器用な女の人と、不器用な男の人が、すれ違いながらもゆっくり成長していく。
そういう、“普通の恋愛小説”です。
『レインツリーの国』を読んだ感想
※今回は多大なるネタバレがラストにありますので、まだ読んでいないという方はぜひ『レインツリーの国』を先に読んでみてくださいね。
レインツリーの国 (新潮文庫)
泣きました。
そりゃもう泣きました。
やるせなくて、どうしようもなくて、静かに泣きました。
私は普段、印象に残ったシーンやセリフの箇所に付箋を貼りながら読み進めるのですが、序盤から付箋がつきまくりです。
私が感情を揺り動かされすぎなのか、有川さんがすごいのか、ひとみと伸が素晴らしいのか私には分かりませんが・・・とにかくこの『レインツリーの国』は、鷹れんのドストライクなんです。
『レインツリーの国』では、それぞれの章で鍵となるセリフが章のタイトルとなっています。
その中に“「……重量オーバーだったんですね」”というものがあります。
最初にこの本を手にとったときには、いまいちピンときませんでした。
しかし読み終わってから目次を見返すと、それだけで涙が出てきてしまいます。
どうしようもなく泣けてしまう。その涙は自分の傲慢さから来ているのかもしれないと思い、また泣けてしまいます。
自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
『レインツリーの国』の中の物語を通して、「ひとみ」は少しずつ成長してゆきます。
本書の中で特に印象に残った文章2つを紹介させていただきます。
聴覚障害者にしか聴覚障害の悩みや辛さは分からない。だから分かり合うことなどできないと思っていた。
だが、他人に理解できない辛さを抱えていることは健聴者も変わらないのだ。その辛さの種類がそれぞれ違うだけで。
聞こえるのだから自分たちより悩みは軽いに決まっているなんて、それこそハンデのある者の驕りでしかなかったのだ。伸のように、健常な聴覚とコミュニケーションの手段を持っていても、他人に痛みを晒そうとしない者だっているのだ。
痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
この文章を読んだとき率直に感じたのは「痛い」。
ひとみが感じていたのと同じようなことを、私も感じていたのかもしれない。
私はかつていじめられていて、不登校になりました。家での居場所も失いました。
「私もいじめられたことあったよ~、辛いよね~」と言われたときに自分の心に余裕がないと
「でもあなた、家族の前でも必死に笑って布団の中で声を殺して泣いたことある?」くらいは言ってしまう気がします。
学校に悩みを持っている子が居ても「でも学校に行けてるんだから大丈夫なんでしょ」と思ってしまうかもしれない。
かつては私だって、むしろ辛すぎて学校に行くしかなかった時期があったのに。「痛み」を持っていても、その子が相談していない(あるいは相談できない)だけかもしれないのに。
意識したことはんかったけれど、無意識のうちにその子の「学校に行けている」という部分だけを見て、自分のほうが辛いのだからと盾を持って、相手を責めてしまっていたかもしれません。
『レインツリーの国』は、普通の恋愛小説です。
だからこそ、メッセージが心にダイレクトに響いてきたのだと思います。
たくさん泣かせてもらえて、大切なことに気づかせてもらえて、『レインツリーの国』には感謝しかありません。
今でもたまに読み返して、頑張るエネルギーや自戒にさせてもらっています。
皆さんも、是非読んでみてくださいませ╰(*´︶`*)╯
▽『レインツリーの国』はこちらからどうぞ☆
レインツリーの国 (新潮文庫)
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
鷹れん
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